新・沖縄にとろける

「何で師匠も一緒なんですか？」
「夫婦なんだから一緒でおかしくないでしょ？　はいそれより大きな声を出さない。外へ出ましょう」
ミワコママに言われるまま外に出る。
師匠が開口一発「ポンコツ君、モネ君はどうしてるかね？　フィンランドかね？」
（は？　俺と会ったのにどうしてモネになるんだ？　しかもどっからフィンランドになるんだ？　相変わらずボケ全開だな）
と言ってきたのには呆れてモノが言えないが。
「モネ君はちゃんと働いていますよ。それよりどうして那覇に？」
「前に知らせたでしょ？　ノニの生産者の部会で研修に来たのよ」
そういえば、そんな話を聞いた気がするが…、忘れていた。
「さっきロビーに人がたくさんいたでしょ？　みんな部会の人たち。
打ち合わせ中だよ。私たちは“娘に会うから…”ってことで抜けたのに、
ポンコツ君がわめくからばれちゃいましたねえ…」と
師匠が言ったが、娘に会うと言いながら、俺に声をかけてくれた師匠に対して
不快いや深い弟子に対する愛情、いや愛情はないな、軽いノリでもよいけど
まあポンコツに声をかけようと思ってくれたその気持ちが嬉しいねえ。
しかし、開口一番モネはないだろ。
「ポンコツ君、今から孫のラキ君（仮名）のためにTシャツを買います。付き合いなさい！」
「わかりました」
「Tシャツ屋は国際通りにあるサー。前にも男の子たちに作ったからね。あのときは“長男”“次男”にしたけどね。ハハハー」
孫の話になるときだけは、仲が良い師匠夫婦だな。