新・沖縄にとろける

ニワトリに餌をあげてようやく今日の“行事”は終了。
かと思いきや師匠は別の畑が気になるようで、そこまで車を
走らせていく。
着いたところは、さっき作業したところとは別のキビ畑だ。
ここも倒伏が目立つ。
「こっちは明日できるかなあ…」
師匠の落胆ぶりが伝わってくる。
畑を見回りしている間も、いや正確に言えば今日も一日
作業の合間に師匠の携帯は鳴りっぱなし。
用件はオバアの入院のことだろうが、男兄弟は師匠ひとり
であるので、すべての負担が師匠にのしかかっているようで
、隣で見ていた自分にはいかんともしがたくで、うん、どうやって
師匠の負担を減らせるかね…なんて、俺は身内ではないのにそんなこと
考えたりもする。
要は、“面倒は長男のアンタがみるべきよ　そばにいるべきよ　奥さんはどうしたの、なんで病院に付き添わない”なんてなことを姉や妹から言われ、
それに対して反論する師匠を見ているとね、
“兄弟は他人の始まり　付き合わなければ良いじゃない”ってな考えで
きちゃったポンコツ君には、何ともしがたいな。
“そんなに言うならあなたが師匠のかわりをしてくださいよ！”と言いたくなるが
ぐっとこらえて（笑）、戻るとしよう。

トラックで家まで戻ってきた。珍しくミワコママが食事を作っている！（笑）
「ポンコツ？　シャワー浴びてきな。寝床はオバアの部屋の隣りね」
「わかりました。シャワー借ります」
オバアが住んでいる母屋の一角にシャワールームがある。
残念ながら湯船はないようだ。
素っ裸になってシャワーを浴びる。
「ポンコツ君？　お湯は出ないぞ！」
師匠は言う。
「ママ？　ガス屋に電話したの？　修理を頼むようお願いしたでしょ？」
「台風明けでガス屋は朝からあちこちひっぱりだこよ。さっき言っただろ？」
ってな感じで、俺が水を浴びている間にふたりのケンカが始まったようだ。
まあ、お互いの言い争いはいつものことなんだけど。
でも、娘一家が居なくなってからは、よりひどくなったようだな。
この先、多良間滞在中何回このような場面に出くわしただろ。
まあ、良いとしよう。シャワーを終えたのでさっそく乾杯だな。