新・沖縄にとろける

シャワーを浴びて夜の晩酌だ。
「ポンコツ君。今日はご苦労さん。まあ、泡盛飲みましょう。
菊の露ですか、多良川ですか？」と師匠が聞くので
「多良川でお願いします」と言って泡盛を注いでもらった。
「今日はね、ポンコツが来てるから飲んでいるけど
私は最近飲まなくなったのだよ」
「どっか身体の調子が悪いんですか？」
「高血圧でね…」
と師匠は言って薬の入った箱を見せてくれた。
たくさんの錠剤が処方されているようだ。
「多良間に薬局ってあるんですか？」
「ポンコツ？　多良間をバカにしてるね！　薬局くらいあるサー」
とママが口を挟んできた。
「それは失礼しました。師匠、であれば私は自分のペースでいきますから
無理をなさらないでください」
「そうだな。そうだ、ポンコツ君。色が黒い毛太郎君を知ってるかね。
彼を呼ぼう」
「知ってますよ。前にドラゴンフルーツをくれた…」
「ドラゴンフルーツ？　いつもらったの？　畑に行ったの？　私に内緒で？」
「師匠の車で連れて行ってもらいましたがね…（苦笑）」
「そうだったっけ？」
忘れるのも無理はないな。
もう還暦前だし（笑）。
それは冗談で、自分も２００５年から多良間に通うようになってるし、
今回で何回目かも覚えてないからな。
「毛太郎？　ポンコツが那覇から来てるよ？　何知らない？　ほら、モネ君の
友達って人で、私の弟子だ…」
としきりに言っている。
ものの数分で毛太郎さんが来た。
「おお、顔を見たら思い出したよ。ポンコツって渡嘉敷さん（師匠のこと）
が言うけどさ、誰だっけ？　モネのことはわかるんだけどね」
ってな感じ。
モネは多良間を去って７年は経つのだが、いまだに多良間人の心に
留まっているようだ。
「ところでポンコツ君？　モネは今インドに居るのかね？　なぜ多良間に来ないんだ？」
はあ？　何でインドになるんだ？　どっからインドになったんだ？
また師匠お得意のボケ全開だな（呆）。
「モネ君は面白い男だったね。インドにいるのならよろしく伝えてくれよ」
と毛太郎さんも同調する。
ここに居ないモネが話題の中心になるのだから、つぐつぐモネはインパクトがあったんだな。
多少、ジェラシーの念も湧き上がらないわけではないが。
で、泡盛は多良川を飲み干し、自分が持ってきた泡盛も空け、
多良間初日の夜は更けていくのであった。
「ポンコツ君、明日はノニの手入れをしましょうね。三線も明日やりますよ」
ってなことであった。
さて、寝るとするか。