新・沖縄にとろける

焼き魚を囲んで師匠と泡盛を飲む。
魚は焼き過ぎたようで裏返しにできなくて
見事に身が網に引っ付いてしまった。もったいない。
でも網に引っかかっても食べよう。
自分はモグモグパクパクまるで自分の家のように遠慮なしで
食べている。
小さいころは良く母に「人様の家でパクパク食べるんじゃないよ！
普段食べさせてないみたいに思われるだろ？」と言われていたので
通常、人様の家ではそんなに飲んだり食べたりしないし、
まして人の家に泊まることがない。
自分の部屋かホテルでしか寝られない人なんだけど、
師匠宅ではまるで遠慮なくやっちゃっている俺は、いったいなんなんだろう。
まあ、良いや。
自分は遠慮なく食ったり飲んだりしてるけど、師匠の携帯は
またオバアのことだろうな、ひっきりなしに電話がかかってきて
気の毒な位。
普段は温厚でギャグしか言わない師匠だが、決死の形相で
いろいろ言い返している。
“もっと言い返せ”と心の中で応援している俺が居る。
言った奴が面倒みろよ、言うだけならサルでもできるさ。



「渡嘉敷さん、こんばんはあ」と言って多良間人の男性がやってきた。
「おおおお、多良さん（仮名）、豪華な肉を持ってきたね！
ポンコツ君が楽しみにしてたよ（笑）」
「こんばんは。師匠の弟子のポンコツです」
「おお、ポンコツ君か。まあ飲んで食べましょう」